~自然生態系の取りもどし、食育と食の安全安心に応えるコメづくり~
○申請団体名:越前『田んぼの天使』有機の会
○認証事業名:「環境保全型農業で、安全安心な農産物と自然の大切さを、次世代の子供たちに提供する事業」
~めだかの学校~
越前焼の産地として知られる越前町宮崎地区。200~500m級の山々に囲まれた盆地であること、越前焼の原料である陶土が豊富なことから、コメづくりに大切な水や寒暖の差が激しいことなど、良質のコメが取れる環境が揃っている地域です。
そのような恵まれた環境にある「田んぼの天使」有機の会の井上代表の田んぼは、まさに“めだかの学校”。めだかが、音を立てながら田んぼを泳ぎまわり、とんぼが飛び交う、そんな原風景が広がっています。その他にも、自然環境の状況をあらわす「生き物指標」となる動植物を数多く見つけることができます。
このような環境で栽培された「田んぼの天使 有機コシヒカリ」の味と輝きは特別なものですが、大変なご苦労があってこその“特別”でもあります。
~「自然生態系の取り戻し」と「食の安全安心」~

越前「田んぼの天使」有機の会は、平成4年より栽培を開始しました。特徴は、完全無農薬無化学肥料栽培です。古来から食品にも使われている、麹菌、酵母菌、乳酸菌などの有用微生物たち(EM)の働きを利用した有機農法を行っています。
こうした農法を採用することにより、コメづくりを行いながら水田での本来の自然生態系の回復を図ることもできます。ですから、かつての水田で見られためだかやとんぼが数多く生息できるのです。
また、多くの生物が生息できる環境で育ったコメは、安全安心な食品でもあります。国が定めた厳しい基準をクリアし、「有機JAS」の認定も受けたコメです。最近こういった食の安全安心志向の高まりもあり、「田んぼの天使 有機コシヒカリ」は需要に供給が追いつかないほどの人気となっています。
~「自然」と「安心」のための苦労~
「『自然生態系と安全安心を守るためには、大変な苦労がある』」と語る、代表の井上さん。ここ数年は、“雑草”との戦いです。雑草は収穫量に大きな影響をおよぼします。かといって、除草剤などは当然使わないので、雑草取りは手作業が主となります。こういった大変な苦労があってはじめて、本当に安全安心が守れるのです。
最近では、県内外で同じように有機栽培に取り組む仲間とも情報交換をしながら、自然生態系を維持しつつ、雑草をできるだけ抑える方法を研究されているそうです。「こういった方法を確立しないと、取り組む生産者も増えない」と井上代表は、農作業の合間を縫って、県外の有機栽培生産者のもとにも足を運び研究を続けています。
~次代を担う子供たちのために~

コメづくりのご苦労も、次代を担う子供たちのために、自然生態系を取り戻し、食の安全安心の大切さ、すなわち本来の“食育”を提供したいという使命感を持っているからこそです。
これまでも、「田んぼの天使」が青々と成長する田んぼで、「生き物観察会」を実施してこられました。子どもたちは、目を輝かせながらめだかを追っかけたり、「草とりレース」を楽しんだりしながら、自分たちが食べるコメと自然の大切さを体験し、学んでいます。
その他、地域の保育所、小中学校の給食へのコメの納入と、新たに米粉パンの納入を行うなど、地域の子供たちにも安全安心な食の提供を行っています。
~理念のネットワーク構築~
これからの課題としては、「田んぼの天使 有機コシヒカリ」の生産者を増やすこと、地域住民や消費者に自然生態系の取り戻しと、食の安全安心に対する理解をより深めてもらうこと。そのため、新たにEMぼかし(有機肥料)製造事業にも取り組み始めました。肥料を供給する際に、栽培方法や活用法を提供することで、少しでも自然生態系の取り戻しと食の安全安心に対する関心を高めてもらうことを目指しています。

(文責:福井県中小企業団体中央会 芹沢)




