福井県コミュニティビジネス推進協議会

~伝承料理を後世へ。地域資源のブランド化と食文化伝承のために。~

○申請団体名:企業組合鯖の熟れ鮨し加工グループ
○認証事業名:「鯖の熟れ鮨しの伝承と地域の生きがいの場づくり事業」

~豪雪地帯「北谷」の冬の伝統食~

 石川県境にほど近い勝山市北谷町。標高約500メートルの山間に集落が点在し、県内で一番最初に除雪車が出勤する豪雪地帯。メンバーの方に伺うと、今でこそ除雪体制が整い、30年ほど前までは冬になると、勝山市街地に出かけることは難しかったそうです。今年も、正月は結構な積雪があり、メンバーのなかには近所へ出かけるのに“かんじき”をはいたそうで、雪が少なくなった現在でも、雪に囲まれた地域であります。
 そういった気候・風土のなかで、冬の伝統食として受け継がれてきたのが「鯖の熟れ鮨し」。標高が高いことと、積雪があることで常に気温が低く、じっくり時間をかけて熟成させていくため、市街地では、同じような味は出せないそうです。

~食文化の伝承と過疎高齢化~

 勝山市では、平成14年度から「エコミュージアム」への取り組みをすすめていますが、北谷町でも、その一環として後継者育成や伝統食文化保存のため、鯖の熟れ鮨し講習会をおこなってきました。
 それぞれの家庭で作っているため、取り組みを始めた頃は、味・仕上がりがバラバラで、県から「村の達人」として認定を受けている、山本トメヲさんの味に統一するため、批評会など試行錯誤を重ねたそうです。
 今から振り返れば、この試行錯誤があったからこそ、北谷を代表する「ブランド」になったのではないでしょうか。

 かつては、多くの人が山仕事や養蚕などで生計を立てていましたが、現在では過疎化と高齢化が進み、各家庭での伝承が難しくなるなか、食文化の伝承と地域の活性化、生きがいの場づくりとして、地域の有志が集まり、平成17年に「鯖の熟れ鮨し加工グループ」が誕生し、加工場もつくり、現在まで活動をつづけています。

~安全安心で、健康的な発酵食品~

 「昔の人は、どうしてこんな食べ方を思いついたのか?」と思いますが、先人も厳しい冬を乗り越えるために試行錯誤を重ねてこの味にたどりついたのではないか。山と雪に囲まれた風景、凛とした冷たい空気、そういったことに想いを馳せながら食べると、より一層深い味わいがひろがります。

 材料のサバは国産、米は地元産の古米でなければならない。材料のショウガも、地元で調達。気温の変化などに気を遣いながら、約40日間漬け込む。昔ながらの材料・漬け込みを守る、「安全安心」な食品。また、最近では発酵食品が体に良いとのこともあり、人気となっています。
“熟れ鮨し”と聞くと、いろんなイメージがあるかと思いますが、北谷の熟れ鮨しは、臭みもなく、チーズのような風味で、特にお酒のおつまみとしては、最高だと評判です。

~「企業組合」として新たな出発~

 平成17年よりグループとして活動を重ね、年末の予約注文、1月の「年の市」、2月の「左義長」とイベントに合わせ製造し、販売をつづけてきました。話題を呼び、注文も殺到するようになり、年々生産量が増加。生産量が増えてくれば、いろんな課題に対応する必要に迫られるなかで、法人化を検討する段階となってきました。

 NPO、株式会社などいろいろな法人があるなかで、「地区の有志があつまって、みんなで平等に仲良く活動を続けていきたい」という想いと法人化という課題を解決するために選択したのが、「企業組合」。聞きなれない組織かもしれませんが、組合制度の1つで、みんなで出資し、みんなが経営者という意識で事業活動を行うには、最適な組織形態です。
 60代~80代の「おじいちゃん・おばあちゃん」が主力であるが、法人化を契機に、責任感とともに鯖の熟れ鮨しのシーズンが終わる春以降も、地域でとれる食材を生かした商品展開をと意欲も高まっています。

~「いずれは全国へ!」夢ふくらむ。今後へ期待~

 平成19年10月1日、「企業組合鯖の熟れ鮨し加工グループ」として心新たに出発し、今シーズン最盛期を迎えました。
 法人化したことで、経営を独立で採算が取れるようにすること、材料の高騰に対応するために、やむを得ず値上げを決めましたが、年末、年の市とも販売数量は前年より増えました。しかし、販売方法や仕込みの時期など、メンバーは新たな課題に直面しています。

 ビジネスとしては、今スタートラインに立ったばかりです。課題のないビジネスはありません。課題を1つずつクリアしていくことで、事業活動が継続するのではないでしょうか。「いずれは全国に『北谷ブランド』を!」新たな生きがいづくりと地域活性化は、着実に前へ進んでいます。

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